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短期間のうちにプレス加工のノウハウ積み上げに成功

[お客様データ]茨城スチールセンター株式会社様 茨城県那珂市にある金属プレス加工および切断加工のメーカー。溶断・せん断から冷間鍛造成形まで、厚板の一貫加工を手掛けておられます。加工内容に適した素材を仕入れ先と共同研究し、そこから生まれた『割れない、伸び率の良い材料』を使用しているという強みを生かして、幅広い分野の製品加工に挑戦されています。
Q平成2年からプレス加工分野に進出されたのですね。

創業から約20年間は切断加工の専業だったが、平成2年に主要取引先の1つからブランキング加工業務を引き継いだことが、きっかけです。平成18年には精密成形プレスAIDAの「UL-20000」を導入して冷間鍛造成形業務を開始し、本格的にプレス加工メーカーとしての体制を整えました。
プレス加工、とりわけ冷鍛加工では歴史の浅い同社が、短期間のうちにノウハウを積み上げることができたのは、「AIDAさんの力によるところが大きい」と感じています。何しろ、それまで冷鍛に関しての知識など全くなかったため、金型の材質の選び方から、工程図の書き方まで、基本から教えていただきました。

QAIDAによる支援と御社の社内の取り組みが真価を発揮した具体例を教えてください。

平成20年に着手し、2年後の平成22年から量産を開始した家庭向け発電機用ローターの工程開発です。従来品はヨークとハブという2つのパーツに分けて加工し、リベット圧入後、異なる材料と異なる工法から成るパーツをかしめで一体化していましたが、それをより一般的な材料で、ブランク→ショット・ボンデ→冷鍛成形の社内一貫体制による一体型量産にすることに成功しました。

Qどのような難しさがあったのでしょうか。

従来品と同等の硬度を出すためには、増肉させて叩き、加工硬化させないといけない。ところが、叩きすぎると割れてしまいかねないので、そのコントロールが大変でした。このほか、加工精度が悪いと、少しの振れでも音を拾ってしまうので、その精度をいかにして確保するかが課題でした。

AIDAの技術指導で、社内に技術が蓄積

Qどのような点でお力になれましたか。

当社で考えた工程と、それに見合う金型組図を書いて、AIDAさんに見ていただき、アドバイスをもらうというやり方で進めました。その際、AIDAさんからは、ある程度工程が見えた段階で、実際に金型を使用したトライ&エラーをするように勧められましたが、今振り返ると、これが大きく物を言いました。
当初、同社では6工程程度で一体化成形を完了する計画を立てたが、トライの結果、客先の要望するハブの強度や真円の精度の確保が難しいことがわかり、また、開発の途中で客先からも「ハブの強度が不足気味なので、もっと叩いて硬度を出してほしい」とか、「ヨークの窓穴を抜くと、真円度などの精度が安定しなくなるので、可能な限り精度を上げてほしい」などの要望が出ました。そこで約1年かけて数十回にわたる工法変更を行い、最終的に強度を確保しつつ190φの円周の誤差を0.001mmm以内に収める現在の3・3・4の10工程を完成させました。

もしも、われわれが絵に描いたもので検討していたら、工法開発には、もっと時間がかかっていたに違いないと思います。また、工程を分けるときは、要素的に分類し、目的を持った設計にすることや、トライ&エラーの結果をデータとしてきちんと残し、後の工程開発に生かすことなど、多くのことを学びました。

QAIDAの技術サポートはいかがでしたでしょうか。

AIDAの技術サポートのなかでも、最も評価しているのは、その場で解答を提示してくれることではなく、当社の社内に技術が蓄積されるよう、その支援に徹してくれていることです。たとえ工程設計で困ってもアドバイスはするが、解答は言わない。そうしないと、その場はしのげても、当社の中に技術が残らない。それを知っているからこそ、AIDAさんは解答までは語らないのです。ただし、工法開発などで的確なアドバイスをしてくれるので、当社にとっては有難い存在です。

ありがとうございました。今後とも貴社の発展のお力になれれば幸いです。

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